平成6年度の実験では 1)血管新生抑制は、現在のところ自然転移を実験的にではありますが最も確実に抑制することが明かとなっておりますが、現在使用しているTNP-470の至適投与量と投与方法を確立する必要があります。in vivoの実験に於てTNP470は、持続注入用ポンプ内にエチルアルコールとともに充填して十分に安定で、間欠投与に比して投与量も少量で効果が認められます。具体的には、20mg/kg/Weekを、持続投与することによって、形成される肺転移巣は著明に減少します。間欠投与では、60mg/kgのTNPを3回/週投与することによってほぼ完全に肺転移が抑制されました。ただし、TNPの副作用としての体重減少もみられ実用的な投与量としては、この半分程度が適当と考えられました。 2)EHDPは、骨肉腫細胞に対してその増殖や転移能には影響を与えませんが、組織学的には骨形成が著明に抑制されており未分化な像を呈しております。したがって、生物学的な態度が変化しているものと考えられました。今年度は、抗癌剤(CDDP)に対する感受性の変化についての検索を行いました。その結果、CDDPについては感受性の変化が見られましたが、さらに他の抗癌剤に対する感受性の変化について検索しております。 3)UbenimexはアミノペプチダーゼNの阻害剤で、元来免疫系への働きかけによってその効果発揮する薬剤であると考えられています。しかし、最近in vitroの実験でType IV collagenaseの活性化を阻害することによって、腫瘍細胞の浸潤を阻止するという新しい機序が発表され、私達もこの薬剤を高転移系腫瘍(S-SLM)に対して投与し、in vivoにおける抗転移能の有無について検討した結果、有意差をもって肺転移を減少することが判明しました。
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