研究課題/領域番号 |
06671474
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
奈良 卓 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60048262)
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研究分担者 |
斎藤 篤志 岩手医科大学, 医学部, 助手 (40235023)
袖井 文二 岩手医科大学, 医学部, 助手 (60179380)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 培養 / 線維芽細胞 / 放射線 / ステロイドホルモン / 甲状腺ホルモン |
研究概要 |
ヒト皮膚培養線維芽細胞に対する放射線の影響、ステロイドホルモン、甲状腺ホルモンと放射線の相互作用について検討した。 方法:ヒト皮膚培養線維芽細胞を継代培養し、実験には継代早期の細胞を使用した。放射線照射は、線量が正確に制御でき、再現性を一定にできることから線種に、^<60>Coγ線を選定し、テレコバルト装置を用い0.3Gy/min、5Gy・10Gy・20Gyで行った。他の線種では線量の再現性が一定でないため実験には用いなかった。γ線照射影響を検討するため照射直後、24時間後、72時間後に細胞数を計測し細胞増殖能の評価を行い、照射直後、24時間後に光学顕微鏡および走査型・透過型電子顕微鏡により細胞形態を観察した。 次に培地にThyroxine(T4)およびHydrocortison(HC)をそれぞれ0.1、1.0、10.0μg/ml添加、テレコバルト装置を用いγ線を0.7Gy/min、10Gy照射し、照射直後、24・48時間後に細胞数を計測し細胞増殖能の評価を行い、24時間後に透過型電子顕微鏡により細胞形態を観察した。 結果:γ線照射によりヒト皮膚培養線維芽細胞の増殖が抑制されることが認められた。細胞形態については、光学顕微鏡では著明な差は見られなかったが、走査型電子顕微鏡で線量の増加に伴い微絨毛の減少と細胞表面の平滑化がみられた。また、透過型電子顕微鏡では、残余小体の増加とミトコンドリアの形態の変化がみられ、特に低線量では24時間後に消退がみられ、高線量では24時間後でも残余小体が残存していた。 T4、HCを培地に添加することにより、HCでは単にγ線を照射するよりも、相加的にヒト皮膚培養線維芽細胞の増殖が抑制されることが認められた。また、T4では細胞増殖を促進する傾向があり、放射線照射による障害を軽減するのではないかと考えられた。 問題点:個々の培養細胞の放射線感受性の違いににより、実験結果に若干の差異が認められるが、初代培養に、同年代、同一部位を用いることにより対応している。放射線照射により細胞増殖能は抑制されるが、細胞形態については、短期間の観察では著明な変化が認められなかったので、今後より長期の観察を行いたいと考えており、さらに遺伝子レベルでの解析も行いたいと考えている。
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