研究概要 |
1.有茎滑膜弁、遊離滑膜片およびfibrin clotの使用による同種移植半月の再生過程 家兎68羽に対し冷凍保存をした内側半月の同種移植を行い、半月単独移植とともに有茎滑膜弁、遊離滑膜片およびfibrin clotを併用し組織学的検索と微小血管造影を行った。移植後4週で半月表面の滑膜性組織の被覆を単独群では半月周縁、fibrin clot群では半月中央、遊離滑膜群では内縁付近、有茎滑膜群では遊離縁まで認めた。経過とともに滑膜性組織の被覆は内方に移行し、半月実質内への結果組織の侵入が有茎滑膜群、有茎滑膜群、fibrin clot、単独群の順で観察された。8週で有茎群の半月表層に軟骨細胞を認め、他の群では12週になり軟骨細胞が出現した。微小血管造影では、3週で遊離滑膜群とfibrin clot群の半月周縁部表面に血行を認めたが、有茎滑膜群ではすでに内縁付近まで達していた。単独群では4週で周縁部に血行を認めた。遊離滑膜片およびfibrin clotには周辺滑膜組織の誘導と血行の再開を促す働きがあり、有茎滑膜弁では移植当初から血行がある程度温存され、有茎滑膜自身からの組織侵入に加え、周辺滑膜組織の侵入を誘導する作用にすぐれているものと思われる。 2.同種半月移植に対する滑膜切除の影響 家兎30羽に対し、オスミウム酸による滑膜切除を行った後に同種半月を移植した切除群と同種半月移植のみを行った対照群について組織学的検討を行った。切除群では滑膜切除後8週で半月周辺の滑膜組織が正常に回復したが、この移植半月周辺にある滑膜組織の影響を取り除くことにより、同種移植半月の再生は遅延した。また,周辺滑膜組織が正常に回復した後の移植半月の再生過程は対照群と同様であり、同種半月移植における周辺滑膜組織の重要性が再確認された。
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