研究概要 |
病理解剖により得られた標本より頚部後根神経節周膜,及び上膜の自由神経終末の質的分布形態の検討を光学顕微鏡でした.前根硬膜性被膜,後根硬膜性被膜,後根神経節硬膜性被膜とその隔壁に自由神経終末が,後根神経節硬膜性被膜とその隔壁に2種の小体様神経終末の存在が認められた,自由神経終末は後根神経節両極部の硬膜性被膜に最も多く分布し,神経線維直径はC神経線維とAδ神経線維に相当するものが認められた.後根神経節硬膜性被膜における自由神経終末の数は,400倍の1視野あたり,最大12個であり,硬膜性被膜の自由神経終末の求心路には二つあり,洞脊椎神経を経るものと,直接後根神経節内に進入するものが認められた.経年性変化として後根神経節硬膜性被膜における自由神経終末数が加齢と有意の正の相関を示した(γ=0.75).また,60歳未満と60歳以上に分けると,後根神経設硬膜性被膜における自由神経終末の数は60歳以上の群において有意に増加していた(P=0.019).頚神経根硬膜性被膜の自由神経終末は,神経根性疼痛の発生に重要な役割を果たしているものと考えられた. ウサギにおける電気生理学的検討は現在進行中である. ウサギの頚神経後根神経節周膜,上膜を電気刺激し,誘発電位の分析を行っているが,椎弓切除後に硬膜牽引を加え誘発電位を測定すると潜時の遅延が認められた.実験時に死亡してしまうので,経時的病理学的変化の検索は今のところ不可能である.
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