研究課題/領域番号 |
06671481
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
山田 友久 北里大学, 医学部, 助手 (00230467)
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研究分担者 |
中村 伸之 北里大学, 医学部, 助手 (50217874)
森田 真史 北里大学, 医学部, 講師 (20112667)
塚本 行男 北里大学, 医学部, 教授 (40050398)
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キーワード | フレッチング / インプラント / 人工関節金属材料 / 摩耗 / 腐食 / 金属イオン / 排泄 / 残留 |
研究概要 |
1.SUS316Lステンレス鋼、コバルト合金、チタン合金それぞれについてポテンショスタット腐食試験測定機を用いて一定電位を負荷しながらフレッチングを起こさせ、不働態膜が破壊され金属と腐食液間に過大電流が流れ始める臨界電位を測定し、それぞれの耐食性を比較検討した。 2.今回それぞれの合金についてin vivo毒性試験を中心に行った。SUS316Lステンレス鋼、コバルト合金、チタン合金それぞれを生理的食塩水中でアノード溶解させ、それらの溶液をpH4.6.8に調節し、ラット腹腔内にそれぞれ5ml注入し、1週間後に屠殺し、排泄(尿、便)と残留(肝、腎、肺、脾臓)を各元素ごとに原子吸光光度計にて測定した。Fe.Ni.Cr.Mo.Co.は、pHの低い溶液を注入したもの程排泄が速かった。またpHの高い溶液を注入したもの程体内残留が多く、肝臓に多く残留する傾向があった。チタン合金は、ほとんど排泄されずに腹腔内に残留していた。実際のin vivoにおけるpH環境と沈澱物の関係を検討すると、体内インプラントはフレッチングによって、金属摩耗や腐食、表面不働態膜破壊が起き金属イオンとして溶出する。そこでpHの低い注入液の場合、ほとんどがイオンとして解けているため、腹腔内注入後生体内の正常pHに戻る数時間の間にイオンとして多量に吸収されその分多く排泄される。一方、pHの高い溶液の場合腐食化合物として多く沈澱しているため、pHの低いものに比べ吸収が遅れ排泄に時間がかかり、反面残留が多くなる。体内でフレッチング、摩擦が持続的に起こると、金属によって排泄速度が遅い場合、金属化合物が蓄積される可能性があることが今回の研究によって示唆された。 3.今後、標的臓器の細胞のどの部位に残留しているかを、電顕レベルで確認していく予定である。
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