研究概要 |
1.われわれは変形性関節症(以下OA)及び大腿骨頚部骨折の骨頭より採取した軟骨細胞における各種MMP及びcytokineの発現をRT-PCR法を用いて検討し、昨年行われた第41回マトリックス研究会で報告した。すなわちOA軟骨細胞において炎症性サイトカイン(IL-1β,IL-6,IL-8)の発現を認めるとともに、OA例、正常例ともに軟骨細胞が自身の細胞外マトリックスを分解する各種MMP(MMP-1,3,9)を産生していることが明らかとなった。MMPの発現についてはcompetitive PCR法により比較定量を行ったが、症例によってややばらつきがあり、OAと正常例の間に明らかな差は認められなかった。またTissue Inhibitor of Metalloproteinase(TIMP)についても解析を行い、OA、正常例ともその発現が確認された。 2.大腿骨頸部内側骨折で手術時に摘出された大腿骨頭からコラゲナーゼ、アクチナーゼ処理により軟骨細胞を分離し、その培養皿上で円盤を回転させることにより細胞にせん断力を加えた。preliminary dataながら正常軟骨細胞にせん断力を加えると、IL-6 mRNAの発現の上昇、並びにvascular cell adhesion molecule-1(VCAM-1)の発現が減少する現象が認められた。問題点として、手術材料の得られる機会が限られていること、大腿骨頭より得られる軟骨細胞の数が少ないことが挙げられるが、今後症例数を増やしていく必要がある。 3.各種接着因子に対する坑体、細胞マトリックス(ファイブロネクチン、ラミニン)をコートしたプレート上で軟骨細胞を培養し、各種サイトカイン、MMP-1,3,9の発現を検討中である。
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