研究概要 |
当初ラットで実験モデルを作成していたが、体重500gでも棘上筋腱が幅2mm、長さ3mmと小さいので、なかなか思い通りの手術ができなかつた。mRNAの塩基配列が分かっている動物を検索したが、入手しやすく飼育可能で、ある程度大きな動物として最終的に鶏を選択した。鶏の肩関節は非加重関節であり上腕二頭筋腱が発達している。棘上筋腱の幅は4mm長さは5mmであり手術操作を行える大きさである。実験モデルとしては上腕骨大結節付着部に幅4〜5mmの腱板上面から関節包にいたり尖刃で切開を加えた。この鶏を手術後2週、4週、6週で賭殺し、棘上筋腱を採取し、10%中性緩衝ホルマリンで48時間4℃で固定した。脱水の後パラフィン包埋し、6μmに薄切した。probeとしては鶏のα1(I)、α2(I)、α1(III)procollagen mRNAからGC%が50%の特異的な24の塩基配列を選び出し、コンピュータ検索を行い、これらに相補的なprobeを設計した。これらのprobeと、これらに相補的なprobeを作成し、digoxigeninで標識した。コントロール実験として、孵化前の受精卵の胎児から皮膚、軟骨を含めて取り出したアキレス腱を10%中性緩衝ホルマリンで48時間4℃で固定し、パラフィン包埋し使用した。in situ hybridizationは浜田の報告に準じて行った(Clin Orthop304:18-21,1994)。皮膚の線維芽細胞の細胞質にはα1(I)、α2(I)、α1(III)procollagen mRNAの信号が、腱の中にはα1(I)、α2(I)procollagen mRNAの信号がかすかに見られた。各種のcontrol実験を行ったが、non-specificbindingが多く、至適な実験条件は未だ見つかっていない。
|