平成5年度課題研究番号04670908に引き続き変動磁場が骨などの生体に及ぼす影響に関する実験的研究を行なった。研究に用いた磁場発生装置は前回同様、日本光電社試作の10または20ガウス交流磁場発生装置、50または100ガウスパルス磁場発生装置、創建B型磁気治療器(70〜800ガウス不均衡交流磁場)である。研究1〜4は前回同様に鶏卵漿尿膜(CA膜)で骨を器官培養したものを実験系とした。研究1はCA膜上での培養大腿骨の成長に及ぼす100ガウスパルス磁場の影響を見たが、前回の交流磁場刺激とは異なり、刺激群のほうがやや発育遅延を認め、湾曲の程度も強かった。研究2では損傷骨の修復に及ぼす変動磁場の影響を検討した。20ガウス交流、100ガウスパルス、B型刺激群では骨欠損部の新生骨形成量には非刺激群と比べ明らかな差を認めなかったが、新生骨の成熟度は各刺激群共に早い傾向が認められた。尚、実験方法の詳細に関しては共同研究者、臼田が第83回中部日本整経災害外科学会で発表した。研究3では磁性体または非磁性対金属を骨内に挿入し磁気刺激の影響を検討したが、各種磁気刺激において金属が骨に悪影響を及ぼしているという明らかな組織学的所見は得られなかった。第10回日本整経外科学会基礎学術集会に発表予定である。研究4としては、各種変動磁場が鶏胚の発育に及ぼす影響を検討中である。受精卵に孵化までの間、1日8時間各種磁気刺激を行なった結果、磁気刺激群は非刺激群に比し鶏胚の発育が促進される傾向が見られた。死亡率や奇形の発生には明らかな差は認められなかった。20ガウス交流およびB型刺激群では、組織学的に肝、腎に明らかな影響は認められなかった。研究5として、骨、骨膜、腱の細胞培養系を用い、B型装置で各培養細胞を1日8時間刺激し倒立位相差顕微鏡で形態的、増殖脳的観察を行なったが、この手法では限界がある。
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