研究概要 |
骨形態計測は、代謝性骨疾患において骨組織の動態を分析する最も基本的かつ必須の重要な手法である。しかし従来の方法は、研究者が顕微鏡を覗きながら1視野ごと輪郭をなぞるもので、労力が大きく、非能率的でしかも不正確であった。我々はLusex Fという新しい自動画像解析装置を使用し、連動するMacintoshコンピューターより、正確、かつ迅速な解析を行えるようした。具体的には、骨形態計測のstatic parameterである骨組織量、類骨量、類骨面、活吸収面、活形成面、線維組織量などが正確、迅速に測定できるようになった。その結果慢性腎不全および血液透析患者の腎性骨異栄養症の病理組織学的な分類である線維性骨炎、骨軟化症、無形成骨症の各病態の判別がきわめて容易になった。さらにテトラサイクリン二重標識の標本より、骨形態計測のdynamic parameterである石灰化速度、骨形成率も簡便に測定、計算出来るようになった。アルミニウム染色(Al)から、Al沈着部分の長さの測定も可能となり、Coburn,Mueunierの基準に準じたアルミニウム骨症の正確な診断も可能となった。しかし、これらdynamic factorの測定は手による‘なぞり'を必要とした。以上の結果とPTH,Osteocalcin,AL-P,CT,β2-MGなどの骨代謝マーカー、さらにはgrade別に分類した骨膜下骨吸収像、腰椎rugger jeresy appearance,頭蓋骨斑状変化などのX線像を合わせ検討し、慢性腎不全、血液透析による腎性骨異栄養症の各種病態の解析を行っている。以上の研究の一端を第3回日本骨粗鬆症研究会(H6年10月;大阪)で発表し、第68回日本整形外科学会学術集会(H7年4月;横浜)で発表予定である。
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