研究概要 |
変形性関節症は整形外科領域において最も頻度の高い関節疾患の一つである.その発生にメカニカルストレスの関与が知られてきたが,その詳細については不明であった..本研究の目的は,関節軟骨細胞にメカニカルストレスを加え,軟骨代謝の変化を観察し,さらにその細胞内情報伝達機構に検討を加えることである. 我々は軟骨細胞にストレスを加える装置であるFlexorcell strain unitをすでに購入しており,平成6年当初より実験を開始することができた.平成6年度の目標は,メカニカルストレスによる1)細胞形態の変化,2)細胞増殖能,3)細胞層よりのglycosaminoglycan遊離,4)プロテオグリカン合成能を検討することであった.これにより,変形性関節症の病態を再現することを目的とした. 実験の結果,軟骨細胞はストレスにより線維芽細胞の形態をとり,細胞増殖能およびglycosaminoglycan遊離は亢進し,逆にプロテオグリカン合成能は低下した.これらの結果は変形性関節症における病態を再現したものである.成果の一部は,第8回日本整形外科学会基礎学術集会のシンポジウムにおいて発表した.以上のことより平成6年度の目標は達成されたと考えられる.平成7年度は,その細胞内情報伝達機構の解析を開始する予定である.
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