研究概要 |
(1)肺胞マクロファージ(AM)の組織学変化:AMの肺胞免疫細胞に占める割合は麻酔時間の変化によって変化は認められなかった。AMの凝集は麻酔開始2時間後では変化がなかったが、それ以降凝集率が著明に増加した。AMの生存率も同様で、麻酔2時間後では変化がなかったがそれ以降死亡細胞が増加した。しかし開腹手術と比べ体表面手術におけるAMの変化は軽度であった。 (2)貪食能:AMの貪食能は麻酔時間が長くなるにつれて減少した。AMの貪食能は前述した凝集能と強い相関関係を示し、AMの貪食能が凝集によっておこるAMの表面積の減少に深い関連を持つことが示唆された。 (3)遊走能:AMの遊走能には変化が認められなかった。 (4)殺菌能:殺菌能の低下が認められた。麻酔開始2時間後までは変化が認められず、それ以降麻酔時間と強い相関を持って殺菌能が低下した。これは凝集および貪食能の低下と同じ結果であり、AMが麻酔時間の増加にともない器質的にも機能的にも変化するという我々の仮説を強く支持するものである。 (5)表面抗原の変化:我々が行ったCD-11a,b,c,CD-18はいずれも麻酔によりその比率が増加した(麻酔6時間後)。これらはいずれも接着分子と関連があるので、麻酔中の凝集能の増多にこれらがふかく関連していることが示唆された。
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