研究概要 |
ペントバルビタール麻酔下のラットに人口呼吸を行い、大腿動脈にカテーテルを挿入し、動脈圧の測定、血液ガスの分析に用いた。大腿静脈を、輸液と薬剤投与路として確保した。胸椎10レベルの脊椎の椎弓切除を行い、腰椎2-3レベルの脊髄を露出し、レーザードップラー組織血流計を用いて脊髄血流量を測定した。 1、全身投与の一酸化窒素(NO)が、脊髄血流にどのような影響を及ぼすかについて、一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害薬であるL-NAMEを0.5,5,50mg/kg投与し検討した。L-NAME5mg/kgの投与で、動脈圧の最大上昇約20%、脊髄血流の約20%の低下が見られた。 2、脊髄腔内投与のL-NAMEの効果を検討した。第5、6腰椎間よりカテーテルを挿入し、コントロールとして生理食塩水50μl,又はL-NAME0.5,5,50μg,を投与した。脊髄血流量に明らかな変化はみられず、局所投与のL-NAMEは、脊髄血流量を変化させないことが示唆された。 3、疼痛刺激によって生じる脊髄血流量の変化について検討した。尾を交流電流で刺激し脊髄血流に及ぼす影響を検討した。電気刺激後、脊髄血流量は25%増加した。1、におけるL-NAMEの全身投与下では、基礎脊髄血流量は低下したが、刺激による脊髄血流増加率は各投与量下で差は見られなかった。2、における局所投与のL-NAMEは脊髄血流量を変化させず、電気刺激後の血流量増加は未処置群と差はみられなかった。 4、疼痛モデルとして、ラットの足底に5%ホルマリン50μlを注入した。注入後脊髄を取り出し、NADPH diaphoraseでNOSを染色した。脊髄のNOSは、疼痛群ではコントロールに比し増加が見られた。特に脊髄後角部において著明に増加していた。
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