研究概要 |
疼痛刺激により脊髄内の一酸化窒素合成酵素を含有する細胞が増加することが平成6年度の研究で明らかになったが、それらの細胞が疼痛刺激により一酸化窒素が発生するか否かは明らかではなかった。ラット24匹に対し、ペントバルビツール麻酔下に気管切開を行い、筋弛緩薬を投与し人工呼吸とした。大腿動静脈にカテーテルを挿入し、動脈圧測定、血液ガス測定、薬物投与に使用した。胸椎10-12レベルの椎弓切除を行い、腰髄1-2レベルの脊髄を顕微鏡下に露出した。一酸化窒素測定用の電極を硬膜下に10mm挿入し約1時間測定値が安定した後、SNPを静脈内投与し一酸化窒素が発生することを確認した。 非手術側下肢、あるいは尾をペアンを用いて約5秒間はさみ、一酸化窒素電極の発生する電位をペンレコーダに静脈圧とともに記録した。平均3度の刺激を行い静脈圧は刺激中約15%上昇したが、一酸化窒素電位は、一時低下しその後前値に復したが、その程度は有意ではなかった。 次に、一酸化窒素合成阻害薬であるL-NAMEを0.3,3,30mg/kg投与し、上記刺激による反応性を調べた。L-NAME投与によって一酸化窒素電位は低下した。疼痛刺激により動脈圧の反応性は保たれ、L-NAME投与前と同様に一酸化窒素電位は、一時低下しその後前値に復する結果を得た。
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