研究概要 |
心停止および心肺蘇生成功モデルを用い,脳保護に有用であったと報告されているα2作用薬,Ca拮抗薬等の薬剤の心肺蘇生成功後の脳循環,脳代謝,体循環に与える影響を明らかにするために下記の実験を行った。 1.麻酔下健常動物におけるα2作用薬,およびK channel開口薬(Ca拮抗作用をもつ)の脳血管に対する直接作用を検討するために,Closed Cnanial Window下に上記薬剤をWindow内投与を行った。クロニジン,デキサメデトミジン(α2作用薬)は用量依存性に脳血管を収縮させ,クロマカリム,レマカリム,ニコランジル(K channel開口薬)はそれぞれ用量依存性に脳血管を拡張させる。また,心肺蘇生のために用いるフェニレフリン(α1作用薬)の直接の脳血管に対する作用を検討した。フェニレフリンは軽度細静脈を収縮させるが,細動脈には影響をほとんど与えなかった。 2.心肺蘇生・再潅流モデルの作製を行った。全脳虚血の際の脳蘇生限界時間を考慮し5分の心停止後に心肺蘇生を開始し,自己心拍出現までの時間,使用薬剤量等を検討した(I群)。また,早期に心肺蘇生蘇生を開始(2.5分後)したモデルを比較のために作製し(II群),同様の検討を行った。さらに上記2群におけるClosed Cranial Windowによる脳血管径の測定,動脈血と上矢状洞からの静脈血の酸素含量,炭酸ガス分圧,グルコース等の差や酸素摂取率を測定し,脳代謝の状態を検討した。I群においてはII群に比し,血流再開後に細動静脈とも,より拡張をし,血管径が蘇生前の状態に戻るのにより時間を要した。I群では酸素摂取率の低下がより長時間持続した。 3.今後,I,II群の双方において,クロニジン,デキサメデトミジン(α2作用薬),クロマカリム,レマカリム,ニコランジル(K channel開口薬)の影響を検討する予定である。
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