研究概要 |
5%ホルマリンをラット後肢足底に皮下注し、脊髄後角(I-VI)に発現してくる細胞性癌遺伝子c-Fos発現量に対する吸入麻酔薬ハロセンの効果を検討した。ホルマリンのラット足底皮下注により、脊髄後角の特に一側にc-Fos発現を認め、脊髄上の脳では、痛覚の伝導路と考えられているnucleus ventralis posterolateralis(VPL)よりも帯状回cingulate cortexに特異的に発現を認めた。ホルマリンにより誘導される脊髄後角におけるc-Fos発現量は、コントロール100%に対して、1.1%ハロセン40%,1.7%ハロセン20%,ホルマリン第1相のみ1.7%ハロセン吸入66%,ホルマリン第2相のみ1.7%ハロセン37%、と有意に低下した。即ち、ハロセンは濃度依存性に、ホルマリンによる脊髄後角のc-Fos発現を抑制したことになる。さらに、ハロセンはホルマリンの第1相、第2相のどちらの期間に作用させてもc-Fos発現を抑制するが、両相を通じて作用させた時に比べると、その抑制は軽度であることが明らかになった。また、ハロセンにより、帯状回のc-Fos発現量も減少した。
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