研究概要 |
1)イソフルランはNADPH-シトクロムP450還元酵素活性に影響を及ぼさなかった. 2)シトクロムP450の還元速度はイソフルランの濃度に依存して早くなった.イソフルラン1.19mMの存在の時にシトクロムP450の還元速度は約2倍に増加した. 3)還元的ハロタン脱ハロゲン化反応過程で生じる反応中間体とシトクロムP450との複合中間体の形成速度はイソフルランの濃度に依存して早くなった. 4)イソフルランが存在しないときのCDEおよびCTEの生成反応の最大速度はそれぞれ0.43±0.11nmol/nmolP450/min,1.00±0.39nmol/nmolP450/minであった.この値はイソフルランの存在によって変化しなかった.イソフルランが存在しないときのCDE生成反応のKm値は602±267μMであった.この値は0.12μM,0.29μM,0.58μMのイソフルランの存在によって254±87μM,269±126μMに減少した.1.16μMのイソフルランの時は有意差を認めなかった.イソフルランが存在しないときのCTE生成反応のKm値は1205±552μMであった.この値は0.12μM,0.29μM,0.58μMのイソフルランの存在によって554±178μM,521±250μM,561±230μMに減少した.1.16μMのイソフルランの時は有意差を認めなかった. 5)代謝生成物,クロロホルムの生成反応に関するミカエリスメンテン係数は,イソフルランの濃度が0.74mM(気相濃度2.2%に相当)のときに対照より86%減少した.また,反応最大速度にはほとんど影響しなかった. 6)イソフルランによって,445nmの形成が速やかにおこった.反応中間体の形成速度が早くなったことを示す. 7)吸入麻酔薬によるモルモット肝ミクロソームの電子伝達系の亢進程度はイソフルラン>エンフルラン>ハロタン>セボフルランであった.
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