研究概要 |
悪性高熱症(MH)を発症した患者やその血縁者およびMHと関連性が疑われる疾患の患者を対象とし,骨格筋小胞体のCa-induced Ca release(CICR)機構の異常亢進と,CICRチャネルであるリアノジン受容体(RYR1)の遺伝子の異常との関連性について研究した. 方法は,対象者の同意を得て末梢血からDNAを抽出し,RYR1遺伝子領域のPCRプライマー7組を用いて増幅し,制限酵素断片長多型(RFLP)による解析と同近傍領域のマイクロサテライトプローブを用いた解析を行った.一方,骨格筋を生検してサポニン処理して化学的にスキンドファイバーを作製し,遠藤らの方法でCICR速度を測定した. 本年度は3家系7名でDNAを抽出し,3名で筋生検を行った.このうち臨床的に劇症MHと診断された1名でCICR速度の異常亢進を認めたが,悪性高熱症との連鎖解析の上で有用なRFLPやC1840Tの変異は認めなかった.またRYR1遺伝子領域の異常とMH素因(CICR速度異常亢進および劇症MH)との連鎖が疑われた家系については,筋生検によるCICR速度の測定とRFLPとマイクロサテライト法による解析を追加して行い,1名でその関連性が明らかになった. 今後はさらに広範囲のDNA異常を検討するために,従来報告された遺伝子変異を検出できるPCRプライマーを作製中である.
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