研究概要 |
ウナギ心室から抽出されたventricular natriuretic peptide (VNP)は、哺乳動物(イソフルランと亜酸化窒素で麻酔した雑種成犬)に投与してもANPやBNPと同程度の利尿作用を示すことを平成6年度に報告した。一方、humanBNPおよびdogBNPはきわめて小量(2-8ng/kg/min)を注入しても心拍出量を減少させ、negative inotropic actionを示すのに対して、VNPは心機能を抑制することなく、利尿作用を示すことが確認された。 この心機能への差が生じる原因を探る目的で、全身麻酔下の犬を開胸し、冠動脈の左前下行枝に電磁流量計のプロブを装着し、その上流部からhumanBNP, dogBNPおよびeel VNPを持続注入した。また、冠静脈にカテーテルを留置して血液中のcGMP濃度を測定した。 human and BNPを冠動脈へ注入すると心拍出量はdose-dependentに減少し、強いnegative inotropic actionを認めるのに対して、VNP投与では心拍出量は有意な変化を認めなかった。冠血流量の変化はいずれのペプチドでも有意でなかったが、BNP投与群で減少が強い傾向を示した。冠静脈中のcGMPの増加率は、VMP投与時に比較してBNP投与時が有意に大きかった。
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