直腸癌根治術後の下部尿路機能を骨盤神経温存群と非温存群に分けて検討した。温存群は非温存群に比べ、蓄尿知覚、最大尿流量率と残尿量から判定した排尿効率、膀胱コンプライアンス、膀胱除神経過敏反応陽性率などの点で良好な結果を示した。術後約6カ月での排尿正常化率は温存群と非温存群でそれぞれ100%、31%であった。非温存群で排尿機能が経過中回復を示した例を検討すると、機能回復とともに上記のパラメーターも改善する傾向にあり、特に膀胱知覚は排尿効率の改善に先立って正常化する傾向が認められた。 直腸癌根治術後、長期的(1年以上)に中等度以上の排出障害が残存した症例を対象にウロダイナミクス検査所見を検討した。排尿筋過反射、膀胱除神経過敏反応、外尿道括約筋弛緩不全、尿道除神経過敏反応をそれぞれ56%、68%、67%、78%に認め、膀胱機能障害のみならず尿道機能障害もかなりの例で排出障害に関与していることが示唆された。このような症例に対して尿道の器質的かつ機能的通過障害を取り除く目的で根治的経尿道的前立腺切除術(radical TURP)が施行され良好な成績を得たことから、直腸癌根治術後に残存する排出障害に対してradical TURPは有効な治療法であると判断された。
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