研究概要 |
尿路平滑筋における一酸化窒素(NO)の役割を検討するため,これらの臓器での一酸化窒素合成酵素(Nitric Oxide Synthase,NOS)の存在を確認する手段として,ヒトのNOSに対する抗体の作成とNOSの酵素活性の測定を行った. NOSの全アミノ酸配列の中から10残基程度のアミノ酸配列の箇所を3箇所を選択し,ペプチド合成機を用いて選択したアミノ酸配列からなるNOSのペプチド3種類を合成した(ペプチド1,同2,同3).合成し精製したペプチドを抗原として実験動物(兎)に皮下注射を行って免疫し抗体が産生される時期(8週間)を待って採血し血清を得た.得られた血清と抗原,ヒト膀胱とヒト前立腺からのNOS抽出液との反応を検討し陽性の結果が得られたのは最終的に5羽の兎からの血清であった(ペプチド1=2羽,同2=2羽,同3=1羽).そこでさらにヒト膀胱とヒト前立腺からのNOS抽出液の電気泳動を行い,得られた血清を用いてWestern Blot法によりNOSの検出を試みた.電気泳動では抽出液にNOSが存在することが分子量マーカーとの比較から推定されたが,血清を用いたWestern Blot法では陽性の結果が得られなかった.そこで高濃度多量の抽出液及び高感度の標識第二抗体を用いたWestern Blot法を用いて検討を継続中である.これらの実験と平行して同じNOS抽出液からのNOSの酵素活性を3H-arginineを用いた実験で検討中である.
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