研究概要 |
1.原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)患者の手術前後のCa,P,HCO_3^-代謝の変化について(対象と方法)10名のPHPT患者に対し、副甲状腺摘出術の前後でCa,P代謝の変化を検討した。また重曹負荷試験を行なうことにより、HCO_3^-代謝についても検討した。 (結果)術後血清Ca値は有意に減少し(11.0±0.2 vs 9.1±0.1mg/dl,P<0.01)、血清P値は有意に増加した(2.3±0.1 vs 3.1±0.2mg/dl,P<0.01)。尿中Ca排泄量は有意に減少したが(6.5±0.5 vs2.7±0.3mg/day/KgBW.P<0.01)、尿中P排泄量に差はなかった(13.7±1.1 vs 12.0±1.4mg/day/KgBW.NS)。TmPO_4は術後有意に増加した(1.9±0.1 vs 2.9±0.2mg/dl,P<0.01)。術前後で動脈血pH.PCO_2,HCO_3^-に変化は見られなかった。また重曹負荷後のU-BPCO_2にも差は見られなかった。しかし腎尿細管におけるHCO_3^-排泄閾値は術後有意に増加し、HCO_3^-排泄分画は有意に減少した。 (結論)(1)PHPTでは近位尿細管におけるHCO_3^-再吸収が抑制されているが、遠位尿細管でのH^-排泄には影響を及ぼさない。(2)腎機能が正常な場合には代謝性アシドーシスもアルカロ-シスも引き起こさない。 2.PHPT患者の手術前後の骨密度の変化について (対象と方法)化学型及び腎結石型のPHPT患者15名に対し、手術前後での骨密度の変化をDual energy X-ray absorptiometryを用いて測定した。 (結果)術前PHPT患者の全身骨及び腰椎骨密度は正常者の80%程度の減少していた。術後の骨密度の増加は長骨が主体である四肢の骨では認められず、扁平骨が主体の頭蓋骨、短骨である腰椎で認められた。 (結論)(1)骨型以外のPHPTでも骨密度の減少が認められる。(2)術後の骨密度回復は海綿骨が主体である腰椎において早期より認められる。
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