研究概要 |
1)原発性副甲状腺機能亢進症手術前後の電解質酸塩基平衡 手術前後で10名に重曹負荷試験を施行。術前後で動脈血pH,HCO_3、PCO_2、U-BPco_2に差はなかった。腎尿細管のHCO_3排泄閾値は術語有意に増加し(25.7±0.5vs27.1±0.5mEq/1,P,0.01)、HCO_3排泄分画は有意に減少した(1.33±0.29vs1.06±0.31%,P<0.05)。 原発性副甲状腺機能亢進症手術前後の骨密度 手術前後に全身骨、腰椎正面の骨密度を15名で測定した。化学型や腎結石型においても、同年齢、同性別の正常者と比べ全身骨、腰椎の骨密度は約80%減少していた。全身骨の骨密度は術後48ヶ月で術前より有意に増加した。術後の骨密度の増加は、扁平骨の頭蓋骨、短骨の腰椎で早期より認められた。 副甲状腺組織よりのRNA抽出と、Northem Blot法によるPTHmRNA,1,25(OH)_2D受容体RNAの検出 5名において副甲状腺摘出後速やかに組織片を採取し-130℃で保存。これをRNAzol溶液にいれ、1/10量のクロロホルムを添加し、高速遠心後上清を採取。これと同量のisopropanolを添加し、高速遠心後沈査を75%EtOHで洗浄し乾燥。これを再溶解、260nmにて吸光度を測定し、RNA量を測定した。Northern Blot法はtotal RNAをアガロースゲルにて電気泳動し、ナイロンフィルターに転写し、^<32>Pで標識した。ラットPTHおよび1,25(OH)_2D受容体のcDNAプローブとハイブリダイズし、フィルムに感光した。 total RNAは抽出され定量された。しかしPTHmRNAおよび1,25(OH)_2D受容体RNAに関しては、ラットとヒトのそれらがクロスせず、定量出来なかった。 原発性副甲状腺機能亢進症では近位尿細管でのHCO_3再吸収が抑制されているがアシドーシスは示さない。この理由の一つとして骨塩による緩衝作用が考えられる。この機序を分子生物学的に証明することは今回は出来なかった。
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