| 研究概要 |
前立腺癌の増殖とEpidermal growth factor (EGF)との関係については、以前よりいくつかの報告がある。たとえば前立腺癌細胞株DV-145細胞で癌細胞がEGFレセプターを有し、またみづからEGFを分泌することがしられている(Autocrine mecfrmsm)。一方、最近Insnlin-like growth factor (IGF)とDV-145細胞増殖との関係が報告された。FGFによる細胞増殖機構の調節にはIGFレセプターのみならず,IGF binding prostein (IGFBP)も関与しているとされる。本研究ではアンドロラレ依存症のLNCaP-FGC細胞およびこれより准生した依存症を失った細胞株(LND,LNCap-r)ならびにアンドロラレ非依存症細胞株TSV-PR1,PC-3を用いてIGFの細胞増殖に及ぼす影響をみた。IGF投与によりTSV-PR1では軽度ながら増殖促進がみられたが、他の細胞株では増殖効果をみとめなかった。LNCaP-FGCにおいてIGFはアンドロラレを併用しても増殖効果をみとめなかった。IGFレセプターはいずれの細胞株も高親和性のレセプターを有していた。IGFBPについては、BP-2をすべての細胞株に認めた。TSV-PR1,PC-3のconditioned modiumにはBP-4の分体も認めた。BP-2はヒト肺がん由来細胞株においてIGFレセプターと競合し、IGF効果を減弱する作用があること、またBP-4はMCF-7細胞株でIGF作用を促進させる働きが報告されている。これらの知見よりTSV-PR1はBP-4によりIGFの効果が発現し、一方、他の細胞株ではBP-2のレセプターとの競合阻害によりIGFが作用しなかった可能性が示唆される。いずれにせよ、これら前立腺癌細胞株の増殖の少なくとも一部はIGFにより調節されていると推察されたが,ホルモン依存性との関連はみいだせなかった。
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