1.ヌードマウス下肢にヒト由来膀胱腫瘍継代株(KK-47)を移植し、これを実験モデルとして正常部と腫瘍部の生物フォトンの計測を二次元極微弱発光パターン計測・解析システムにて行った。1回の計測には2時間要し、その結果、移植2週後の腫瘍部は正常部に比較して、1.51〜4.73倍と有意に高い生物フォトンが観測された。この結果は、Urological Researchに投稿しacceptされ、現在in pressの状態である。 2.各種治療後の生物フォトンの変化については、現在特に温熱療法を中心に実験中である。しかしながら現時点では、治療後の生物フォトンの測定結果が必ずしも一定でなく、治療条件なども含め引き続き検討中である。 3.精液からの生物フォトン計測に先立ち、まず精液からの蛍光強度を測定した。すなわち、488nmにて励起光をあて蛍光を測定したところ、622nmにピークを有する蛍光曲線が得られた。この蛍光は主に精漿に由来すると考えられた。また、精子濃度と精子成分からの622nmでの蛍光ピークは正の相関関係が認められた。さらに、精子運動率と精子および精漿成分からの蛍光ピークとの間にも正の相関関数が認められた。これらの結果の一部は、日本不妊学会などで発表した。しかしながら、精液からの生物フォトンは腫瘍からのフォトンに比べさらに微弱であり、二次元的計測はかなり困難であるため、現在精液全体からのフォトンスペクトル(光波長別の光強度)の解析を試みている。
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