研究概要 |
1 癌関連遺伝子であるp53遺伝子、Epidermal Growth Factor(EGF)Family遺伝子に注目し、これらが膀胱癌の生物学的悪性度にいかに反映されているかを検討するとともに臨床的悪性度診断に有用であるか、さらに治療方針決定の補助診断として確立しうるかについて検討する。 2 ヒト由来膀胱癌細胞株T24、KK-47の転移能を受精鶏卵法を用いて検討した。同検討法は、ヒトのみに特異的なβ-globin遺伝子をポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)法により増幅させるため、微小巣を含めた転移巣形成の程度の定量が可能である。胎児肺・肝いずれの臓器においても、T24はKK-47に比較し、有意に転移巣形成が著明であった。 3 両癌細胞間に何らかの転移規制遺伝子群の異常に相違があるものと考えられ、E-cadherin,α-cateninなどの細胞間接着因子、urokinase plasminogen activator,そのreceptor,inhibitorなどの細胞外基質成分破壊因子、matrix metalloprotenase(MMP)-1,-2,-9,tissue inhibitor of MP-1,-2などのプロテナーゼの発現を比較した。T24では、これまでの高転移性細胞における転移規制遺伝子群の発現様式カスケードとほぼ一致していた。今後、膀胱癌の浸潤・転移のマーカーとして、診断・治療に応用すべく、基礎研究を継続する。
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