研究概要 |
腎癌患者HLA-typingおよびp53遺伝子コドン72のRFLP解析 合計68例の患者のDRBのgenomic typingをDR1,2,4,7,9,10について完了した。現時点ではDR9がhealthy control群に比べて腎癌患者で陽性率が高い傾向が認められている。p53に関しては、腎癌を含む泌尿器科領域癌232症例で同コドンの多型性を解析した結果、腎癌ではPro/Pro型の患者にhigh grade,high stageの症例が多く認められた。 8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)の測定、及び腎癌組織におけるproto-oncogeneの発現の誘導の解析 合計35症例で検討の結果、腎癌組織で、酸化的ストレスにより誘導される8-OHdGが非癌組織に比べて、平均54%の亢進していた。また、活性酸素種による発現の誘導が知られるproto-oncogeneであるc-mycが腎癌組織において、その発現が増大していた。 c-metのRNA解析 合計50症例の内、42症例で腎癌組織でのc-metの発現が非癌組織に比べて、平均3倍の亢進が認められ、組織型では乳頭状腫瘍で、またGradeでは悪性度の高いものにこの傾向が顕著であった。 腎癌、及び腎癌細胞株におけるp16遺伝子異常の解析 p16遺伝子異常(homozygous loss)の有無をSouthern Blottingまたはmicrosatellite法を用いてprimary tumor及び、樹立細胞株において検索を行なった。前者で43症例中7例(16%)、後者で10株中9株(90%)の異常がそれぞれ認められた。又、primary tumorでは転移巣を有する症例で、高頻度に異常が認められた。
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