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1995 年度 実績報告書

腎がんの進展と予後に関与する宿主側要因の研究

研究課題

研究課題/領域番号 06671587
研究機関京都大学

研究代表者

寺地 敏郎  京都大学, 医学研究科, 講師 (50207487)

研究分担者 豊國 伸哉  京都大学, 医学研究科, 講師 (90252460)
水谷 陽一  京都大学, 医学研究科, 助手 (10243031)
小川 修  京都大学, 医学研究科, 助手 (90260611)
筧 善行  京都大学, 医学研究科, 講師 (20214273)
キーワード腎細胞癌 / p53 / HLA class II抗原 / MAP kinase / MEK / Raf-1 / 染色体9p21-22 / p16
研究概要

本年度の主な実績は以下の通りである。
1)85例の腎細胞癌および212例の他の泌尿器癌について、PCR-RFLP法を用いてp53遺伝子コドン75の多型(CGC(Arg)またはCCC(Pro))を解析し、ノーマルコントロール群と比較した。統計学的には有意差を認めなかったが、腎細胞癌ではArg/Argの頻度は比較的低く、Pro/Proの頻度が高くなる傾向が認められた。
2)97例の腎細胞癌罹患者について、PCRを用いてHLA class II DRB1のアレル頻度を解析し、1216例の日本人ノーマルコントロール群と比較することにより、臨床パラメーターとの相関について検討した。腎細胞癌罹患者ではHLA class II DRB 0101,0405アレル頻度が有意に低く、またこれらのアレルを有する例では他の群に比べlow grade, low stageのが有意に多かった。
3)25例の腎細胞癌について、ウエスタンブロッティングおよびカイネースアッセイを用いてMAP、MEK、Raf-1の活性化について検討した。約半数の症例でMAPの恒常的活性化を認めた。
4)55例の腎細胞癌についてマイクロサテライトを用いた9p21-22のLOH、サザンブロッティング、SSCP、ダイレクトシークエンスを用い、p16の欠失、変異について解析した。p16の欠失、mutationの頻度は極めてひくかったが、55例を手術時の転移の有無により2群に分けた場合、9p21-22のLOHは転移を有する群で有意に高かった。
以上より、P53コドン75の多型、HLAクラスII抗原の違いは、宿主側の要因であるが、腎癌の発生に大きく関与し、健常人の腎癌罹患の危険因子とみなしうる可能性が示唆された。MAPは腎癌の発生、進展を生物学的に解析する上で極めて意義のある蛋白であると考えられた。さらに、HLAクラスII抗原、染色体9p21-22の欠失は腎癌罹患者の予後を予測するマーカーとなりうることが示された。以上の分子生物学的なパラメーターのさらに詳細な解析は臨床上の治療指針の確立に大きく寄与するものと思われる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Wen-Jeng Wu: "Allelic Freqwncy of p53 Gene Codon 72 Polymorphism in Urologic Cancors" Japanese Journal of Cancer Research. 86. 730-736 (1995)

  • [文献書誌] Hiroya Oka: "Constitutive Activation of Mitogen-activated Protein(MAP)kinase in Human Renal Cell Carcinoma" Cancer Research. 55. 4182-4187 (1995)

  • [文献書誌] Hidefumi Kinoshita: "Contribution of Chromosome 9P21-22 Deletion to the Progression of Human Renal Cell Carcinoma" Japanese Journal of Cancer Research. 86. 795-799 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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