研究概要 |
今年度は膀胱癌の様々な病理像と癌抑制遺伝子であるP53遺伝子の構造変化との相関を初発の膀胱癌組織25症例を用いて検討した。方法はPolymerase chain reaction法(PCR法)およびsingle-strand comformational polymorphism analysis of RNA(RNA-SSCP法)をもちいて行った。結果は25例の組織のうち6例(24%)にP53遺伝子の変異が認められた。PCR法によるDNA sequenceではP53遺伝子のexon5,6,7(2例),8,10番にPoint mutationによるアミノ酸の変化が認められた。これらのP53遺伝子の変異がみとめられた6例中5例は浸潤傾向の強い腫瘍であるか転移をもっていたり、細胞学的異型度の非常に強い腫瘍であった。しかし残る一例は表在性で細胞学的異型度の軽い(Low grade, low stage)腫瘍であった。この一例の組織においてPolymerase chain reaction-based restriction fragment length polymorphism assayにおいてはP53遺伝子のLOHが証明されており、P53の変異が場合によってはlow gradeでlow stageの症例でも起こり得ることを示している。さらに症例を追加して検討している。
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