研究課題/領域番号 |
06671608
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山本 啓介 大阪市立大学, 医学部・泌尿器科学教室, 助教授 (70137230)
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研究分担者 |
船江 良彦 大阪市立大学, 医学部・化学研究室, 教授 (00047268)
杉村 一誠 大阪市立大学, 医学部・泌尿器科学教室, 講師 (90187659)
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キーワード | 尿路結石 / 蓚酸カルシウム結石 / 蓚酸 / オートラジオグラフィー / ビタミンB6欠乏 / クエン酸 / ペントサンポリサルフェイト |
研究概要 |
【目的】ビタミンB6欠乏食飼育により誘発した過蓚酸尿症ラットに対する、^<14>C-標識蓚酸の腎マクロオートラジオグラフィーを用いたこれまでの実験により、クエン酸やSodium pentosan polysulfate(SPP)による結石発症抑制効果が示唆された。今回はさらに実験動物に対するクエン酸やSPPの投与量や投与期間を変え、イメージングプレート法を用いることにより定量的にそれらの抑制効果を検討した。また血中および尿中のカルシウム値等を測定し、SPPとクエン酸の作用機序の比較検討を行った。【方法】6週齢の雄性SD系ラットをビタミンB6欠乏食で飼育開始し、それを以下のように4群に分けた。1)60mMクエン酸溶解液の4週間自由飲水群、2)SPP10mgの4週間隔日静脈内投与群、3)ビタミンB6欠乏食飼育開始より2週目からのSPP10mgの2週間隔日静注群、4)対照群である。ビタミンB6欠乏食飼育4週間後、第一〜三群のラットに対し^<14>C-標識蓚酸の腎マクロオートラジオグラフィーを施行し、^<14>C-標識蓚酸の集積部をイメージングプレート法にて解析した。また各群のラットの腎機能と血清カルシウム値、一日尿中蓚酸およびカルシウム排泄量を測定した。【結果】クエン酸およびSPP投与群は対照群に比し、^<14>C-標識蓚酸の集積像の数と大きさは有意に低下した。ビタミンB6欠乏食飼育4週間で、各群のラットの腎機能の低下は認められず、また一日尿中蓚酸排泄量は各群とも約2倍に増加した。しかし尿中カルシウム排泄量はクエンン酸投与群においてのみ、対照群に比し有意な低下を示した。【考察】蓚酸カルシウム結石発症に対し、クエン酸とSPPは明らかな抑制効果があることが認められた。しかしそれらの作用機序は異なると推察され、クエン酸に関しては尿中カルシウム排泄量の低下もその一要因と考えられた。SPPに関しては、腎の間質においての蓚酸カルシウム結晶形成抑制作用によるものと推測された。
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