研究概要 |
PBSC採取時に大量のマクロファージ(Mφ)が、PBSCと同時に混入することはよく知られている。このMφは、通常の末梢血Mφと異なりIL1,IL6,G-CSF,GM-CSFなどのサイトカインを強力に分泌するいわゆる活性化Mφであるとされる。しかし、PBSC移植のIL2,INF,TNFなど、いわゆる抗腫瘍効果に関する生物学的特性については知見に乏しく腫瘍に対する影響もほとんど知られていない。本研究では、このMφについてフローサイトメトリーによる解析を行いPBSC採取細胞中のMφにCD69抗原が発現しているとの知見を得た。さらに悪性腫瘍患者におけるPBSC採取時に経時的観察を行いCD69抗原量に変動を生じるとの結果を日本輸血学会に報告した。CD69抗原は、NK-gene complexであることが最近報告され、リンパ球のみならずMφなどの血液細胞に発現しているとされている。しかし、未だにリガンドが決定されておらず、抗原発現ついてRT-PCR法を用いて次年度に検索する予定である。本年度の結果からは、なんらかの骨髄再生に関連したサイトカインの刺激によりCD69が発現する可能性が示唆され、腫瘍免疫学的な知見以外にPBSC採取において至適な時期についての情報を与える可能性がある。現段階では、PBSC中のMφに関する免疫学的な検討を行っており、最終な目的である泌尿器科悪性腫瘍に対する腫瘍免疫学的な検討については次年度検討を行う予定である。
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