研究課題/領域番号 |
06671615
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
堀口 裕 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60229234)
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研究分担者 |
斎藤 史郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80170504)
馬場 志郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (00051889)
橘 政昭 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70129526)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 前立腺癌 / 腫瘍壊死因子 / 凝固異常 / 悪液質 |
研究概要 |
抗腫瘍性サイトカインであるtumor necrosis factor(TNF)の腫瘍随伴症候群や癌悪液質を中心とした坦癌病態形成に果たす役割や意義が議論されるに至り、癌におけるTNFの多彩な生物学的活性が論じられるようになってきた。本研究においては、組織学的に診断された前立腺癌患者において、血清TNF活性をEIA法により測定した。前立腺癌患者の血清TNF活性陽性率は20%であり、なかでも再燃を示す症例の75%が陽性を示し、圧倒的に陽性率が高かったが、未治療例や寛解の得られた症例では血清TNF活性はほとんど検出されなかった。血清TNF活性陽性例の血清FDP値、血漿D-dimer値、血漿thrombin-antithrombin III complex(TAT)、plasmin-a2-antiplasmin inhibitor complex(PIC)値およびsoluble flbrin monomer complex(SFMC)の陽性率は血清TNF活性陰性例のそれらに比して有意な増加を認めた。逆にこれら凝固異常を示す症例はそうでない症例に比べ有意に高い血清TNF活性を示した。血清TNF活性陽性例における血清総蛋白およびアルブミン値、ヘモブロビン値、body mass index(BMI)などは陰性例に比較して有意に低下しており、一方、悪液質を示す症例は有意に高い血清TNF活性を示した。また、血清TNF陽性例の生存率が有意に低下していた。 これらの結果は前立腺癌に伴う凝固異常とTNFの関連性を示唆するものであり、さらには、前立腺癌における悪液質にTNFが関与している可能性を示唆するものである。
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