研究概要 |
7週齢のWistar系雄ラット120匹に0.05%BBN水溶液を5週間与えた、6週目にラットを20匹ずつ6群に分けた。I群はコントロール群として水道水を、II群は煎茶を、III群は抹茶を、IV群はほうじ茶を、V群はウ-ロン茶を、VI群は紅茶を40週まで自由摂取させた。第40週で全ラットを屠殺し、膀胱発癌の状態を検討した。 膀胱腫瘍の発生率はI群95%、II群80%、III群94%、IV群89%、V群89%,VI群95%であり、ラット当りの腫瘍発生数はI群4.9±2.9,II群1.7±1.5,III群4.7±3.2,IV群2.6±1.6,V群3,3±2.2,VI群3.7±4.6であり、I群とII群およびIV群間に有意差を認めた(P<0.01,P<0.05)、ラット当りの総腫瘍体積はI群13.0±14.0,II群2.3±1.5,III群10.9±9.0,IV群6.5±7.2,V群16.8±17.3,VI群10.9±18.8であり、I群とII群間に有意差〔P<0.05)を認めた。またII群とIV群およびV群間に有意差(P<0.05)を認めた。 〓以上の実験から結果を得た。 緑茶(煎茶)によるBBN誘発ラット膀胱発癌の抗腫瘍効果が認められた。 緑茶(煎茶)以外では ほうじ茶にも抗腫瘍効果を認めたが、半発酵茶であるウ-ロン茶、発酵茶である紅茶には抗腫瘍効果は認められなかった。このことは緑茶に多く含有するところのカテキン類が発酵が進むにつれ減少するためと思われる。 抹茶で抗腫瘍効果が認められなかったのは実験操作のミスが起因していると思われた。すなわち通常のラット吸水ビンの中で抹茶は時間と共にその成分が沈澱して、水溶液と固型沈殿に分離してしまうために、充分な抹茶成分の濃度がラットに与えられなかったものと思われた。
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