研究概要 |
インターセックス患者(尿道下裂を伴うXX男性3名、真性半陰陽1名、混合型生殖腺不全症3名、男子小子宮を伴った尿道下裂10名、Reinfenstein症候群4名、精巣性女性化症候群4名)の外性器の培養皮膚線維芽細胞を用いこれらの患者のAR(andorogen receptor)が温度不安定性の異常をもつことを証明した。また培養皮膚線維芽細胞のSRY(Sex determining region Y)遺伝子を含むY染色体上の座位(PABY,SRY,DYZ3,DYS139,DYS132,DYS1,DYZ1)もポリメラーゼ遺伝子増幅法(PCR)により調べた(25名の内10名)。現在これらの症例の内、Reinfenstein症候群の1名についてAR遺伝子をriverse transcriptase-PCR法を用いて増幅し、PCR産物をベクターに組み込み当大学に設置されているABA373ADNAシークエンサー(Applied Biosystems社製)にてシークエンス解析を行い、AR遺伝子のエクソンB、C、Eの配列を決定した。現時点では他のエクソン(A、D、F、G、H)の遺伝子配列とReinfenstein症候群の残りの3名のエクソン(B、C,D、E、F、G、H)の遺伝子配列を決定しつつある。現時点までの遺伝子解析ではエクソン内に突然変異は認めていない。Reinfenstein症候群全例のAR遺伝子解析終了後、上記インターセックス患者外性器の皮膚線維芽細胞のAR遺伝子解析を行なう。これによりARの温度不安性をもたらす遺伝子を同低する。これまでの実験結果からインターセックス患者での外性器の異常はARレベルの異常が関与していることは明確である。阪神大震災のために計画が遅れたが、この報告の時点( 1995年3月10日)では実験を再開することが出来ている。
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