研究概要 |
妊婦のHCV抗体陽性率は、1.19%(30/2,528)であった。第一世代HCV抗体の陽性率は1.08%(18/1659)、第二世代HCV抗体では1.38%(12/869)で両者間に有意差を認めなかった。HCV抗体陽性妊婦のHCV RNA陽性率は56.3%(18/32)であった。夫のHCV抗体陽性率は、23.1%(6/26)であり、抗体陽性者中83.8%(5/6)にHCV RNAを検出した。同様に妊婦の母親のHCV抗体陽性率とHCV RNA陽性率はそれぞれ19.0%(4/21)と100%(3/3)、父親は、54.5%(6/11)と83.3%(5/6)であった。臍帯血のHCV RNA陽性率は6.7%(2/30)であった。HCV RNA陽性の妊婦18例から生まれた29例の児のうち4例(13.8%)にHCV RNAが検出された。(1)妊婦のHCV抗体陽性率は1.19%で一般人口と有意差を認めず、陽性妊婦中HCV RNA陽性率は56.3%であったこと、(2)HCV抗体陽性の家族内集積性が認められたこと、(3)HCV抗体陽性妊婦から生まれた児の7.1%(4/56)にHCV RNAが検出されたこと、(4)HCV RNA陽性の妊婦18例から生まれた29例の児のうち4例(13.8%)にHCV RNAが検出され、HCVの母子感染の頻度は5〜15%と推定されたことが示された。
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