研究概要 |
I 胎盤組織におけるbasic FGFの生成異常および制御異常に関して 1.bFGF monoclonaI抗体による免疫組織染色による胎盤組織中bFGFの局在,DNA Nick end labeling法による絨毛細胞のapotosis発生の観察は,パラフィン切片でも十分可能なことが判明した。 2.DNA Nick labeling法により,胎盤絨毛細胞にはapotosis細胞が存在すること,また連続切片による分析からapotosis関連抗LeY抗体 BM-1/JIMRO陽性細胞とDNA Nick end labeling染色陽性細胞の局在が合致することが判明した。 3.胎盤組織中のbFGF量は,母体の臨床症状より胎児,胎盤の発育状況に相関が強いという結果を得た。 4.bFGF receptor量の測定法は測定値の再現性に問題があり,まだ組織内量の測定に至っていない。現存の方法はこの研究の目的を満たすには不十分と思われる。 II 妊娠中毒症の診断および病状の客観的判定に関して 妊娠中毒症はその診断の客観性が不十分なため,基礎的検討が困難であることが指摘されている。そこで,中毒症病態マーカーとして血漿フィブロネクチン(P-FN)値の有用性を臨床的に検討した。その結果,P-FNの上昇が中毒症の発症予知と診断に,その絶対値が中毒症の重症度に相関することから,P-FNの中毒症マーカーとしての臨床的有用性が示された。これは,中毒症の予防・管理のうえで有意義な知見と考えられる。
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