研究課題/領域番号 |
06671655
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
鎌田 正晴 徳島大学, 医学部, 講師 (60145018)
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研究分担者 |
二木 史郎 徳島大学, 薬学部, 助教授 (50199402)
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キーワード | イムノグロブリン結合因子 / 精漿 / 抗精子抗体 / 子宮頸管腺 / 気管 / 蛋白分解酵素 / トリプターゼ / アルギニールエンドペプチダーゼ |
研究概要 |
主任研究者らが、ヒト精漿中に見い出したイムノグロブリン結合因子(IgBF、immuno-globulin binding factor)は、PWM刺激リンパ球幼若化反応を強く阻害することから、精子に対する抗体産生を抑制していると考えられる。しかし精漿から純化したIgBFは、不活性なhomodimerであり、in vivoでは、作用発現部位における、還元酵素や蛋白分解酵素等による活性化機構の存在が示唆される。そこで本研究では、IgBFの局在、分子構造および活性発現の機構を検討し、以下の結果を得た。 (1)IgBFに対する単クローン性抗体を作成し、それを利用して従来のRIA法の約400倍の感度を持つELISA法を開発した。同法および免疫組織学的検討により、IgBFは、前立腺以外にも、子宮頚管腺および気管分泌腺から多量に分泌されることが判った。その他、涙腺や唾液腺からも分泌されると考えられた。 (2)ヒト精漿から2つのIgBFサブタイプを精製した。2つのサブタイプは、還元カルボキシメチル化によっても、逆相クロマトグラフィーで異なる溶出パターンを示したが、N末端から39残基のアミノ酸配列およびアミノ酸組成は全く一致していた。すなわちこの2種のサブタイプの差は、分子内S-S結合の差ではなく、ごく一部のアミノ酸残基の差であると考えられた。また還元カルボキシメチル化されたIgBFは、いずれも抗Leu-11b抗体と反応せず、活性発現にはSH基の存在が必要と考えられた。 (3)IgBFを、唾液腺由来の酵素であるarginilendopeptidaseおよびT細胞由来の酵素であるtryptase TL1で分解することにより、非還元下でLeu-11-bと反応する、分子量15kDの活性型IgBFが発現した。すなわち、蛋白分解酵素によるarg-Xの加水分解というIgBFの活性化機構が明らかとなった。
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