研究課題/領域番号 |
06671659
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐野 正敏 九州大学, 医学部, 講師 (60206000)
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研究分担者 |
橋本 和法 九州大学, 医学部, 助手 (40264048)
野崎 雅裕 九州大学, 医学部, 助手 (60228319)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | エストロゲン / 性ステロイド / 閉経 / 骨粗鬆症 / ピリジノリン / オステオカルシン |
研究概要 |
近年、閉経後の婦人に対してエストロゲンを中心としたホルモン補充療法(HRT)が行われるようになり脂質代謝や骨代謝等の改善が報告されているが、HRTによってそれらの代謝機構がどの様な調節を受けているかは未だ解明されていない。エストロゲンはマクロファージ等の種々の免疫担当細胞に働きサイトカインを介して免疫機構を調節することが知られている。サイトトカインは種々の細胞から産生されその特異的なレセプターにシグナルを伝達するタンパク質で、前述の免疫担当細胞以外に、骨組織等においても一群の細胞機能の維持に働いている。すなわち、HRTはそれらのサイトカインを介して閉経婦人の免疫機構や骨代謝を調節している可能性がある。骨組織も免疫組織と同様に多種のサイトカインを介した複雑なネットワークを形成し、骨芽細胞や破骨細胞等による骨形成と骨吸収の代謝が営まれている。閉経後の婦人では骨塩量の減少が著しく、加齢とともに骨粗鬆症が進行する。我々は両側卵巣摘出婦人を用いた閉経婦人のモデルを利用し、閉経後の骨塩量の減少は骨形成に上回る骨吸収の亢進によって引き起こされていることが示した。すなわち、骨吸収のマーカーであるピリジノリンの尿中排拙は卵摘直後より急激に上昇しその後は緩やかに下降する。一方、骨形成のマーカーであるオステオカルシンは卵摘後1年後より増加するが3〜4年後には下降しプラトーに達する。これらの結果は、更年期女性における骨塩量の減少が高回転型の骨塩量減少であることを示した。また、この骨塩量減少のメカニズムを調べるため、腹水細胞からmagnet-binding抗体法で得られた単球を株化ストローマ細胞とM-CSF、PTHおよび1α, 25(OH)_2D_3と共培養した破骨細胞の培養を試みた。はHRTの骨作用の機序として、骨芽細胞や破骨細胞のデストロゲンレセプターを介した直接作用とIL-1やIL-6等のサイトカインの誘導を介した間接作用が考えられている。よって、エストロゲンの破骨細胞に及ぼす効果を、IL-1やIL-6等のサイトカイン産生能や、M-CSF等の種々のサイトカインに対する反応性の変化をみることによって検討した。
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