研究課題/領域番号 |
06671662
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
齋藤 俊章 九州大学, 医学部, 講師 (80162212)
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研究分担者 |
坂井 邦裕 九州大学, 医学部, 助手 (70264033)
重松 敏之 九州大学, 医学部, 助手 (30253438)
小林 裕明 九州大学, 医学部, 助手 (70260700)
加来 恒寿 九州大学, 医学部, 助手 (60185717)
嘉村 敏治 九州大学, 医学部, 助教授 (30152870)
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キーワード | 細胞外基質分解酵素 / ファイブロネクチン / ラミニン / 浸潤 / 卵巣癌 / 子宮癌 / 細胞接着因子 / 線維芽細胞 |
研究概要 |
1 in vitro実験系 子宮頸癌、卵巣癌株化培養細胞を用いて、癌細胞のマトリックスメタロプロテアーゼ産生能をzymogramを用いて検討した。卵巣癌株2種HRA,KFにおいて検討したところ、KFにおいてのみ62kD付近にゼラチンを溶かすバンドが出現しマトリックスプロエターゼ活性を認めた。この62kD付近で活性を示す蛋白融解酵素は主として4型コラーゲンを分離する2型マトリックスメタロプロテアーゼに相当すると考えられた。in vivoでシスプラチンに耐性となったHRA株では親株になかったこの活性が発現し、KFにおいても親株に比べてその活性は亢進した。子宮頸癌株HeLaにおいては、やはりMMP-2に相当する蛋白分解酵素活性が認められた。 接着因子が子宮頸癌株の蛋白分解酵素産生(ファイブロネクチン、ラミニン)に及ぼす影響を検討した。zymogramを用いて検討した結果、ファイブロネクチン、ラミニンいずれも用量依存的に子宮頸癌株HeLaの蛋白融解酵素産生能を亢進させた。 以上のことから、細胞接着因子の一部には子宮頸癌細胞の蛋白分解酵素産生を亢進させる機序が存在することが明らかとなった。 病理組織学的検討 子宮体癌における浸潤動態を周囲のhyperplasiaの有無との関連から検討した。hyperplasiaの存在する体癌においては、存在しない体癌に比較して深層への浸潤、脈管への侵入、また、リンパ節への転移いずれも有意に少なかった。以上の結果より、子宮体癌においては周囲にhyperplasiaが存在する癌においてはその浸潤能は存在しない癌に比し低いことが明らかとなったが、この原因に接着因子の関与があるか否かは今後の課題と考えられた。
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