研究分担者 |
重松 敏之 九州大学, 医学部, 助手 (30253438)
小林 裕明 九州大学, 医学部, 助手 (70260700)
加来 恒寿 九州大学, 医学部, 助手 (60185717)
嘉村 敏治 九州大学, 医学部, 助教授 (30152870)
平川 俊夫 九州大学, 医学部, 助手 (20218770)
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研究概要 |
1 In vitro invasion assay、collagen gel invasion assayを用いて、子宮頚癌株化培養細胞の浸潤と間質細胞の有無、接着因子の有無との関連から検討した。HeLa,CAC-1,TMCC,SiSoいずれも子宮頚部間質細胞をTGF-β,アルコルビン酸で前処理した群において浸潤細胞数の有意な増加を認めた。ファイブロネクチン、ラミニンのchemoktactic effectによる浸潤の亢進を認めた。TGF-β,アスコルビン酸により間質細胞(fibroblast)のファイブロネクチン産生は亢進しており、これらの事より、腫瘍細胞の産生するTGF-βにより間質細胞のファイブロネクチン産生が惹起され、産生されたファイブロネクチンが腫瘍細胞の浸潤を誘導する可能性が示唆された。 2 子宮頚癌、卵巣癌株化培養細胞を用いて、癌細胞のマトリックスメタロプロテアーゼ産生能をzymogramを用いて検討した。卵巣癌株2種HRA,KFにおいて検討したところ、KFにおいてのみ62kD付近にゼラチンを溶かすバンドが出現しマトリックスプロテアーゼ活性を認めた。この62kD付近で活性を示す蛋白融解酵素は主として4型コラーゲンを分解する2型マトリックスメタロプロテアーゼに相当すると考えられた。in vivoでシスプラチンに耐性となったHRA株では親株になかったこの活性が発現し、KFにおいても親株に比べてその活性は亢進した。子宮頚癌株HeLaにおいては、やはりMMP-2に相当する蛋白分解酵素活性が認められた。 3 接着因子が子宮頚癌株の蛋白分解酵素産生に及ぼす影響を検討した。zymogramを用いて検討した結果、ファイブロネクチン、ラミニンいずれも用量依存的に子宮頚癌株HeLaの蛋白融解酵素産生能を亢進させた。 4 以上のことから、細胞接着因子の一部による子宮頚癌細胞蛋白分解酵素産生の亢進機序の存在が明らかとなり、先に述べた間質細胞による癌細胞の浸潤誘導の機序と考えられた。
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