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1994 年度 実績報告書

ゲノムインプリンティングによる胎盤の発生・分化・癌化の制御

研究課題

研究課題/領域番号 06671663
研究機関九州大学

研究代表者

有馬 隆博  九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80253532)

研究分担者 加藤 聖子  九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10253527)
今村 利朗  九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10221095)
和氣 徳夫  九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
キーワードゲノムインプリンティング / 正常絨毛 / 胞状奇胎 / 絨毛癌 / 絨毛癌抑制遺伝子
研究概要

胎盤の発生、分化、癌化過程におけるゲノムインプリンディングの関与について、IGF2,H19遺伝子について解析した。ヒト正常絨毛、胞状奇胎組織、絨毛癌細胞株を用い、RT-PCRとRFLP法を併用し、IGF2,H19遺伝子の発現について検討した。正常絨毛組織及び胞状奇胎組織でのIGF2遺伝子の発現は、すべて父親由来ゲノムに認めた。また、H19遺伝子に関しては正常絨毛組織は、母親由来ゲノムのみに認められたが、胞状奇胎組織では父親由来ゲノムに認められた。この結果により、正常絨毛組織におけるゲノムインプリンティングの保持は確認されたが、胞状奇胎組織ではゲノムインプリンティングの消失が示唆された。さらに妊娠性絨毛癌細胞株(10株)ではIGF2遺伝子発現は一方のゲノムに由来するホモ接合(6株)、両親のゲノムに由来するヘテロ接合(2株)を認め、後者は正常妊娠に由来する絨毛細胞の癌化に伴うゲノムインプリンティングの解除が示唆された。また、H19遺伝子に関してもインプリンティングの解除が示唆されたものは3株あった。増殖因子を規定するIGF2遺伝子とがん抑制遺伝子候補であるH19遺伝子における発現パターンの異常は、絨毛癌発症、進展の関与が示唆され、現在メチル化との相関について検討中である。
絨毛癌の発生起源については、24例のパラフィン包埋組織切片よりDNAを抽出し、その患者及び配偶者のDNAを用いPCR多型解析にてその発生起源について証明した。14の遺伝子座についてPCR法を用い、サザンプロット及びドットプロット、SSCP解析を行った。その結果1)胞状奇胎を先行妊娠とする9症例のうち、1例は正常妊娠に由来し、また、雄核発生を示す8例のうち、2例は2精子受精を6例は1精子受精より発生した腫瘍であることが判明した。2)正常妊娠を先行妊娠とする症例のうち3例は、先行妊娠とは異なる妊娠に由来することが判明した。3)3例の非妊娠性絨毛癌は、第1減数分裂後の未受精卵に由来することが判明した。今後さらに症例を積み重ね絨毛癌の発生起源についての解析を行い、統計学的データの正当性について確認する。
絨毛癌抑制遺伝子の単離については、20種のクローンを選別した。この結果は期待どおりの結果ある。また、ERV3遺伝子周辺領域に関しては、CEPH MegaYACクローンのスクリーニングにて、約14クローンを得た。これらのクローンの制限酵素地図を現在作成中である。この領域のYACコンティンク作成も平行しており、同領域の詳細なマップが抑制遺伝子単離に応用されうるものと思われる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] T.Arima: "Genetic origin of malignant trophoblastic neoplasms." Cancer Genet cytogenet. 73. 5-12 (1994)

  • [文献書誌] N.Wake: "Accumulation of Genetic Events in Endometrial Carcinoma andits Cell Growth Inhibition by Antisense Oligonucleotide Complementary to Mutated K・ras Gene." Cancer Molecular Biology. 1. 145-156 (1994)

  • [文献書誌] S.Miyamoto: "Increased Actin Cable Organization After Single Chromosome lntroduction.Association with Supprssion of In Vitro Cell Growth Rather Than Tumorigenic Suppression." Molecular Carcinogenesis,. 10. 88-96 (1994)

  • [文献書誌] T.Gima: "DCC Gene Alteration in Human Endometrial Carcinomas." Int.J.Cancer,. 57. 480-485 (1994)

  • [文献書誌] M.Sasaki: "Evidence for multiple pathways to cellular senescence." Cancer Reserch. 54. 6090-6093 (1994)

  • [文献書誌] K.Miwa: "The role of p53 inactivation in human cervical cell carcinoma development." British I.Cancer.in pree.

  • [文献書誌] H.Yamada: "Genes,chromosomes and Cancer," Suppression of Endometrial carcinona cell tumorigenicity by Human chromosome18.(in press),

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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