研究概要 |
1.体外受精・胚移植IVF-ET症例における性器感染の実態 IVF-ET後妊娠症例と自然妊娠例との比較において、頚管・腟分泌物培養検査の結果、前者では病原微生物の検出率が有意に高いことが判明し(E.faecalis,E coli,GBS,Klebsiella speciesのいずれかが検出される率は60.5%:23.7%)、IVF-ET不成功/流産例でも同様の結果であった。 2.IVF-ET症例における自己抗体保有率およびその内容 IVF-ET症例では、正常経妊産婦に比較し、自己抗体(リン脂質抗体、Lupus anticoagulant,抗核抗体、抗DNA抗体、Rheumatoid factorなど)の保有率が高い傾向にあり、とくにIVF-ET不成功/流産例では抗リン脂質抗体の保有率が高い傾向にあることが判明した。 3.性器感染陽性例、自己抗体保有例における免疫パラメーター IVF-ET不成功/流産例、とくに性器感染陽性例、自己抗体陽性例の10-20%に、免疫グロブリン/補体の上昇している症例がみられた。 4.in vitro B-cell activation実験系の確立 性器感染陽性例、自己抗体保有例でのB-cell polyclonal activationの有無を検索するための本実験系の確立が不十分であり、次年度の課題となった。 5.ステロイド/ダナゾール治療 現在までのところ、IVF-ET不成功(複数回)に本治療を試行し、5例のうち3例に血清グロブリン/補体の正常化と妊娠の成立を経験した。
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