研究概要 |
正常子宮内膜、内膜増殖症(cystic hyperplasia, adenomatous hyperplasia, atypical hyperplasia)各30例、計120例のパラフィンブロックを使用する。各症例の典型的な組織像を示す部を選択し、20から30ミクロンの切片を作製した。これらを、すでに報告した方法にそってペプシン処理を行った後にFISH法を適用した。発癌に関与が予測される第1番、6番、7番、16、17、18番染色体特異的セントロメアプローブはploidyの評価に用いた。共焦点走査型レーザー顕微鏡(CLSM G-200, Argon Laser,オリンパス社製)を用い波長488および514.5mmで走査した。FISH法によってハイブリダイズした内膜病変のパラフィン切片をX-Y-Z方向に0.5ミクロン毎に走査し、光学的連続切片を作製した。各症例毎に画像解析装置による三次元像再構築し、組織構築を保ったまま各細胞毎のコピー数を算定した。 増殖性病変から癌への移行の可能性についても染色体プロイデイの検討は有意義である。第16、17、18番染色体の欠失が増殖症病変および内膜癌で検出されたので、一部の増殖性病変は癌化すると考えられた。癌組織では1番染色体の増加が観察されたが増殖性病変では観察されなかったことから、1番染色体のpolysomyは内膜癌の発生過程では最初に起きる変化ではないと考えた。
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