研究課題/領域番号 |
06671681
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
中居 光生 北里大学, 医学部, 教授 (50050399)
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研究分担者 |
釼持 稔 北里大学, 医学部, 助手 (10205289)
飯野 譲二 北里大学, 医学部, 助手 (30176052)
川内 博人 北里大学, 医学部, 講師 (90152917)
山浦 昇 北里大学, 看護学部, 助教授 (60050621)
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キーワード | がん発生蛋白 / 腹水抗原 / 純化 / アミノ酸配列 / 腫瘍マーカー / 妊娠関連蛋白 |
研究概要 |
1.癌腹水抗原の純化 進行癌患者の腹水を採集し、精製後家兎に免疫して抗血清を得た.この純化多クローン抗体をAffi Gel 10にカップリングし吸着クロマトグラフィーを実施した.本腹水を吸着、溶出後の免疫活性を示す画分を採集した.この画分をSDS-ポリアクリルアミド電気泳動(PAGE)によって分離した後本教室の石川が作製した単クローン抗体(ヒト悪性中皮腫患者腹水中28kD蛋白を認識する単クローン抗体の作製.北里医学25:299-309,1993)と反応させると、免疫活性は3本の蛋白bandに検出された.ウエスタンブロット法によって最も強い活性を示した28kD蛋白を単離した. 2.アミノ酸配列と生物学的意義 Genbank/EMBLデータベースにより本分子種のアミノ酸配列は、N末端より20個のアミノ酸配列に関連する蛋白を検索した結果、嚢胞性線維腫蛋白及びカルシウム結合蛋白MRP8の両者に対し,17位を除き同一で「Met-Leu-Thr-Glu-Lys-Ala-Leu-Asn-Ser-Ile-Ile-Asp-Val-Tyr-Xaa-Lys-Tyr-Ser」更に、MRP8と90%の高い相同性を示した.本蛋白が妊娠と癌とに著明に増量することの意味はMRP8と同様に組織の炎症とそれに随伴する細胞の増殖と深く関連する可能性が最も高い. 3.本研究の展望 「癌発生蛋白」の単離とそのアミノ酸配列検索の結果得られた結果がカルシウム結合蛋白MRP8と高い相同性を示したことは、本蛋白がacute phase reactantとして組織に於て類似の現象に関与する可能性を示唆する.ヒト胎盤由来の蛋白分子腫との特性比較は更に新しい知見を提供することが期待出来る.
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