研究概要 |
Wister系ラットにおける卵摘による骨粗鬆化とエストロゲンによる補充効果の検討 【目的】卵摘(OVX)によりいかなる部位に骨密度の変化が起こるか,また,それがエストロゲンの補充によりどのように改善するかについて,ラットを用いてDXAおよび骨形態計測により検討を行った。【方法】24週齢ラットを用い,術前(pre)ラット(n=6)およびsham手術施行ラット(n=6)をcontrolとし,OVX施行ラット(n=6)およびOVX1カ月後から3カ月間E_2投与(17-β-E_2 100μg徐放性ペレットを脊部皮下に埋め込む)ラット(n=6)のDXAによるL_<3-5>BMDおよび大腿骨BMDを比較検討し,さらに骨形態計測にても比較検討した。【結果および考察】(1)体重補正L_<3-5>BMD・・・・・・pre群とsham群のBMDは8.77×10^<-4>±4.56×10^<-5>および8.86×10^<-4>±3.76×10^<-5>と,両群には有意差はなかった。しかし,OVX群は6.08×10^<-4>±2.70×10^<-5>と,preおよびsham群に比し,有意(p<0.001)な減少を認めた。また,OVX+E_2群のBMDは,0.832×10^<-4>±1.03×10^<-5>とOVXに比べ,有意(p<0.04)な上昇を認め,preおよびsham群とは有意差はなかった。(2)大腿骨BMD・・・・・・大腿骨BMDは近位端,遠位端,骨幹部と3カ所測定したが,遠位端がL_<3-5>BMDの変化と近似し,近位端においてもほぼ近似したが,骨幹部では4群ともほとんど変化が認められなかった。なお,遠位端および近位端は海綿骨が皮質骨よりも大きな割合を占めるが,骨幹部は皮質骨主体にて構成されていることを組織学的に確認している。(3)以上より,OVXによるエストロゲンの低下によって海綿骨を主体とする骨粗鬆化が生じるが,皮質骨に対する影響は少ないことが判明した。また,エストロゲンの補充によっても海綿骨を主体として改善効果がもたらされることが判明した。(4)現在,非脱灰標本を用いて骨形態計測上の変化ならびに各種骨代謝マカ-上の変化についても検討中である。
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