本研究では、1.子宮体内膜におけるスルホトランスフェラーゼ(ST)及びアリルスルファターゼA(ASA)の量的変化に関する解析 2.子宮体内膜における硫酸化糖脂質の局在 3.子宮体内膜における硫酸化糖脂質の細胞接着への関与の解明を行なった。 1.正常体内膜組織におけるSTならびにASA活性を測定した結果、ST活性は増殖期に比べ分泌期に活性の亢進が認められたのに対し、ASA活性は逆に、増殖期の活性が分泌期に比べ亢進していることが判明した。さらに、ASAのcDNAを用いたノーザンブロッティングによる解析の結果、ASAのmRNAの発現は増殖期と分泌期において明らかな差異は認められなかった。従って子宮体内膜における硫酸化糖脂質の発現量の変動には、ST活性とASA活性が関与していることが明らかになった。 2.新たに作製された硫酸化糖脂質スルファチドに対するモノクローナル抗体を用いて、子宮体内膜における硫酸化糖脂質の局在を免疫組織化学的に検討した。その結果、抗スルファチドモノクローナル抗体は、おもに腺上皮細胞が強くかつ高頻度に染色され、間質ではその染色態度は弱いことが判明した。 3.分泌期子宮内膜組織のアセトン固定組織・切片を作製し、組織に対する培養細胞の接着を検討するin situ adhesion assayの実験系ならびに至適条件の確立に成功した。
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