1.精子生存性を損なうことなく先体内膜上のアクロシン活性を測定するために基礎的検討を行った結果、Hepes緩衝化ハンクス液、37℃の条件下に0.6mMlle-Pro-Arg-pNAを基質とした時に最も高い比活性が得られ、精子生存性に影響しないことが明らかとなった。 2.96穴マイクロプレートリーダーを用いることにより、精子数100×10^4程度、測定時間20分間で測定可能となり、さらに多数検体の一斉処理が可能となった。 3.invitro培養により精子頭帽が脱落し、先体内膜が露出した精子でも、アクロシンの活性化誘起率は低く、あらかじめ可溶化したアクロシンを添加することにより酵素化学的に活性化が進行することを見い出した。 4.精子を低浸透圧処理することにより全アクロシンを抽出することが可能であり、これを30分間程度培養することによりアクロシン前駆体の自己活性化を行い、この活性値を分母として1.に示した生存精子の活性値を徐することによりアクロシン活性化率を算出し得ることが示された。 当初提出した研究計画書に記したアクロシン活性測定法の基礎的検討についてはほぼその目的を達し、前項に記したように、生存精子上のアクロシン活性、抽出、自己活性化後における全アクロシン活性、アクロシン活性化率の分別定量が可能となった。
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