研究課題/領域番号 |
06671692
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
岩下 光利 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (30124936)
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研究分担者 |
酒井 啓治 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30260962)
工藤 美樹 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80241082)
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キーワード | 成長因子 / 胎児 / 発育 / IGF / IGF結合蛋白 / 燐酸化 / 代謝 |
研究概要 |
1.ヒト胎児臍帯血中燐酸化IGFBP-1の妊娠週数による推移の解析 臍帯血中の燐酸化IGFBP-1異性体をイオン交換クロマトグラフィーで分離する方法を確立した。この方法を用いて正常満期産児と満期産胎内発育遅延児の臍帯血中燐酸化IGFBP-1を解析すると、ラット胎仔と同じく、1つの非燐酸化と4つの燐酸化IGFBP-1が認められ、燐酸化IGFBP-1の比率が胎内発育遅延児では増加しており、ラットと同じくヒトでも胎児発育に燐酸化IGFBP-1が関与していることが推測された。 2.燐酸化・非燐酸化IGFBP-1のIGF-Iに対する結合親和性の検討 羊水中の燐酸化・非燐酸化IGFBP-1を上記のイオン交換クロマトグラフィーで分離し、これを用いてIGF-Iの結合阻止実験からIGF-Iに対する結合親和性を解析すると、燐酸化IGFBP-1は非燐酸化型より数倍IGF-Iに対する親和性が高いことが明らかとなった。この結果、燐酸化IGFBP-1のIGF-Iに対する親和性はIGF-Iの受容体に対する親和性より高く、一方、非燐酸化IGFBP-1のIGF-Iに対する親和性は受容体に対する親和性と等しいことが確認された。 3.燐酸化・非燐酸化IGFBP-1のIGF-I作用に対する影響の検討 満期産胎盤絨毛細胞培養系に燐酸化IGFBP-1とIGF-Iを同時に添加すると、IGF-Iのアミノ酸取り込み促進作用が抑制されたが、反対に非燐酸化IGFBP-1とIGF-Iの同時添加ではIGF-Iの作用が促進された。このことより、燐酸化と非燐酸化IGFBP-1はその生化学的性質が異なるだけでなく、IGF-Iに対する作用も全く異なることが明らかとなった。
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