当初の研究目的である「胎児発育遅延の原因としての臍帯機能不全」の病態を明かにし、将来におけるその治療の可能性の基礎的検討を行なうことに対し、まづ臍帯血管内皮のapoptosis誘導因子の同定を試みている。すなわち子宮内胎児発育遅延症(IUGR)の臍帯静脈血より血清を分離し、正常の臍帯血管内皮(HUVEC)の培養系に添加しapoptosis誘導を検討している。現在までに、(1)IUGR症例のHUVECは低酸素状態では正常の対照に比較してapoptosisを来たし易い。(2)妊娠中毒症例では臍帯整脈血清中に正常HUVECにapoptosis誘導因子が存在する。(3)この血清中成分は35C15分で活性を消失する。以上の諸点までが解明されている。今後はさらにこの活性分画を同定する方向へ研究を進めたい。すなわちHPLCによる分画によりこの物質の単離を試みる。またその抗体作成を試みる予定である。
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