研究概要 |
培養ヒト子宮内膜間質細胞にプロゲステロンを投与したところ、プロゲステロン受容体,エストロゲン受容体,アンドロゲン受容体遺伝子発現がそれぞれ約50%,50%,20%抑制された。テストステロン投与にても同様の抑制が見られた。エストロゲン投与では逆にそれぞれ約3倍,1.3倍,3倍に増加した。またプロゲステロン受容体は培養中性ステロイド無添加で増加し、プロゲステロン投与により一定の発現レベルを維持することが分かった。これらの発現調節には子宮内膜間質細胞の黄体化を抑制すると考えられているIL-1の関与は認められなかった。これまでの免疫組織化学染色法による報告では、膜間質細胞においてプロゲステロンはプロゲステロン受容体発現に関与しないとされたいた。しかしながら本研究での受容体発現調節の存在は、従来の考えとは異なり他の臓器のプロゲステロン受容体と同様にプロゲステロンがプロゲステロン受容体発現を抑制する事が分かった。しかしながらヒト子宮内膜間質細胞には、細胞の特性としてプロゲステロン受容体遺伝子発現を増加する傾向があり、プロゲステロンが発現を抑制する結果、発現量が一定に保たれ発現調節が存在しない様にみえることが明かとなった。またテストステロンによる発現調節の存在することにより、アンドロゲンが性ステロイド受容体際発現に影響を与え受精着床に関与している可能性が示唆された。
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