研究概要 |
1)ANCAによる好中球活性化について ANCAによる好中球の活性化に関しては患者血清中のANCAを塩析、イオン交換クロマトグフィーにてIgGまで精製し、これを材料として用いた。健常人の好中球に対する影響をBoyden Chamber法にてchemotaxis,chemokineticsに関して検索したが、一定の傾向はまだ認めていない。 2)ANCAによる好中球接着分子の発現の解析 健常人好中球をTNF_αの存在下培養し、primedの状態にしておき、さらにANCAを加えることにより、adhesion moleculeの発現が増加するかどうかを検索中であるが、好中球の培養がまだ安定しておらず結果を得ていない。 3)患者血清中各種サイトカインの定量 血管内皮細胞側のadhesion moleculeとしてのsoluble ICAM1はWegener肉芽腫症(WG)のactive stageの患者血清中において健常人、nonactiveWGに比べ有意に高かった。しかしsolubleELAM1は有意差を認めなかった。またTNFは必ずしもactiveWGにおいて高い値は得られなかった。現在好中球側のadhesion moleculeであるLFA-1、sialyl LewisXに関して検索中である。 4)その他 ANCA陽性のWegener肉芽腫症患者11名のHLAのタイピングを行なったところHLAのA26、A33、B44、B55、DR9において相対危険率が3以上であった。またこのうちFisherの直接確率計算法にてHLA-DR9のみに有意差が認められた。ANCA陽性患者を対象とした報告は過去にわづかにひとつあるのみであり、DR9が有意に高いという我々の結果は今後の本疾患の解明に大きく寄与するものと考える。
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